エレクトロハーモニクス社は去年の秋に突然、地味なオーバードライブを新製品として続々と発表するという「らしくない」方向性を見せていました。
特にこの“East River Drive”はJRC4558オペアンプを使ったTS系と言うド直球極まりないヒネリの無さで正直自分は困惑をきたしました。今更そんなのやらんでもいいのに、と。
で、最近になってこの“East River Drive”は、TSのモディファイで定評のあるANALOG.MANが開発に協力していたという
情報を目にし、
「え、だったら最初に言ってよ。買う買う」と、すぐさま楽器屋に向かい購入した次第です。
音色はド直球に聴きまごう事無くチューブスクリーマーなんですが、現行のTS-9と比べて中身が詰まってて、粒が綺麗に整ったサウンドです。
言っちゃ悪いけどTS-9の悪いところを直したかの様な完成度の高さ。たぶんANALOG.MANのなせる技じゃないかと。エレハモっぽくない仕事だし。
TS系といえばランドグラフのTSモードあたりが名機として存在するわけですが、そういったTS系とこの“East River Drive”との大きな違いは、TS特有の抜けの悪い濡れた味わいをシッカリと保持している点です。ランドグラフのとか、結構明るく開けてるんですよね。出音自体は良いけど。エレハモの方がよりTSに近いです。
でもってマーシャルアンプの歪みと絡めたサウンドは極上で尚且つクセもなく、この心地良さはランドグラフにも匹敵、いや聴きようによっては勝ってんじゃないだろかと思いました。
以上、素晴らしいTS系です。是非一度試していただきたい。
こうもTSらしくて良好かつ安いTS系が中華系ではなくエレハモの様な老舗の人気店から出たとなると、本家TubeScreamerもそろそろTS-9の次を考えたほうが良いのではと、ちょっと心配になります。