2016年発売の2ndアルバム。
テープ・ミー・ワンダーは2007年結成のロックバンド。結構歳食ってますw
90年代以降のロックミュージックを広く咀嚼し再構築したかの様な音楽性で、特に90年代要素が割と強めな気がします。
対バンする事が度々ありライブを見て曲も知っていたので、先日ついに完成したという新譜も良作であろうと確信し最近盤を手に入れたのですが、ここまで素晴らしい作品になるとは思ってませんでした
ざっくりと評するなら、まれに見るほどに丁寧に作られたアルバムです。
しかも自主制作でこれほどの音源が作れた事に驚きます。
近年のレコーディングがコストパフォーマンス含め質が向上している事からも要因は探れますが、それだけでは終わらない、演奏やアレンジやミックスの丁寧さを感じます。
特に1曲目の”EVEN”はまるで音楽に魔法がかかった瞬間をつかんで離さないままに5分46秒間をレコーディングし切ったかのような傑作です。
こんな楽曲は年に何曲も出ない、珠玉の出来だと思います。
それ以降の曲も、素晴らしい瞬間を数多く感じられ、一つの塊のような空気感を11曲、最後まで保持し続けます。
おそらくこういった作品は丁寧に注意深く、時間をかけて作らねば成されないのではと思います。
そういった点で、この作品はインディーズのバンドマンに「これだけのモノが自主制作で作れる」という見本になるアルバムではないかとすら思います。
誤解を恐れずに言えば「結局のところ作品にどれだけ労力を傾けられるか」が、アルバム作りには大事なのだと感じ入り、反省させられました。
ちなみにギターボーカルのnoriboooooneさんは、ライブでklonケンタウルス(金の絵入り)を繋げてガンガン踏み付けて使ってる様な方なので、金もかかってそうな気がします。プロユースのスタジオでも音録りしたそうですし。
また、その労力はサウンドだけでなくジャケットにも発揮されており、あえて段ボール素材を使用したジャケットは作品に特異な質感を与えています。
このアルバムは2枚組で、2枚目には過去の曲や未発表曲が9曲収録されています。
こちらもライブでよく演奏される曲が多く、楽曲的には申し分のないナンバーが多数ですが1枚目の出来ほどではない印象でした。
おそらく普通に作ってたら、このくらいのアルバムで終わってたんだろうなぁと2枚目の音源を聴いて思いました。1枚目の方が曲ごとのテンションとかある程度曲調が揃ってる気がします。
それでも労力は感じられますし良作ではあるとは思います。
以上、まだライブ先行発売でいつ通販とかで買える状況になるのか不明ですが、本当に素晴らしいのでオススメしたい1枚です。
なお、試聴するサイトが無かった様でしたので、自分でトレーラーも作ってみました(メンバーさんからは了承得てます)。