95年発売の6thアルバム。
写真の通常盤は近年買い直したもので、発売当時はスリップケース仕様でした。発売日に買った初回盤は今も実家にあります。
スピッツの”ハチミツ”が日本のロックにおける珠玉の名盤である事は自分が今更語らずとも邦楽好きなら誰でも知っていると思うので、ここでは発売された当時の回想を書き留めたいと思います。
90年代前半の邦楽は、80年代からのバンドブームが没落し、トレンディドラマのタイアップ曲がミリオンセラーを乱発するシーンに大きく変貌を遂げていました。
日本のロックにおいては、渋谷系やshazna以降のビジュアル系ブームに移行する直前の端境期だったかと記憶してます。
そんな状況下で頭角を現したバンドがスピッツで、当時の日本のロック好きにとってスピッツは「是非とも売れてほしいバンド」の筆頭格でした。
デビューアルバムから3rdまで全てが素晴らしく、特に2ndの「
名前をつけてやる」は既に日本のロックにおける名作と当時から言われてました。
そしてスピッツがついに商業的な成功を意識してリリースしたアルバムが、“ハチミツ”、ではなく、4thの”
クリスピー”でした。
良作ながら明るくポップな曲調が目立つ内容で、自分も当時から「らしくなさ」や「やりすぎ感」は感じたのですが、結局セールスは伸びず、爆死扱いされてました。
翌94年、もう少し落ち着いて初期っぽさも感じられた5thアルバム”
空の飛び方”はファンからも好評で、オリコン初登場14位と世間的にも結構売れました。
そんな経緯を辿って95年4月、シングル曲“ロビンソン”が大ヒットします。
スピッツファンなら納得の良曲ですし自分も発売日に買いましたが、正直不思議な気持ちになりましたよ。
「この曲がこんな売れるんだったらとっくに売れてて良かったじゃん」と思いましたし、「こんなに売れたら一発屋になるんじゃ」という危惧も感じました。
いや、自分だけでなく当時のファンの多くがスピッツに不遇さを感じていて、みんな多少の困惑はあったと思うんですよね。ただただ喜んだ人もいたとは思いますが。
そして同年9月に発売された”ハチミツ”が、スピッツの人気を不動のものとしました。
力みなく軽快に始まる1曲目から中盤までリズムにノリの良さがありつつも、終始垢抜けなさや憂いがあってひたすら心地良いです。
名曲揃いですが個人的に特に好きな曲は”あじさい通り”と”愛のことば”で、20年以上絶えず聴き続けてます。
おぼろげな記憶になりますが、当時「音楽と人」という雑誌のインタビューで草野さんが(歌詞は)”セックス”と”死”しか歌ってないみたいな話をされていたのを覚えてて、歌詞カードを見る時はその事を念頭に置きながら読んでます。
あと最後に自慢を書きますが、スピッツとは一度だけ対バンさせていただいた事があります。
本当です。ええ、自分の人生で数少ない自慢です。