ブラジル出身の2人組によるソフトロック。81年の唯一作。
世に出た名盤はあらかた復刻し、CD化されたものだと自分は思っていたのですが、今年になって初めてCDとLPで復刻されたこのアルバムを偶然視聴して、何故これほど素晴らしい音楽を今まで知らなかったのかと衝撃を受けました。
無名ながら間違いなく傑作です。
エドゥ・パッセート&ギ・タヴァレスはブラジルのサンパウロ州出身。隣接するミナスジェライス州などで活動。
ミナスジェライス州はブラジルの中でも特に音楽の活発な州で、ジャンルもボサノバだけでなく多岐にわたり、ここで育まれた音楽は総称してミナス音楽、またはミナスサウンドと呼ばれることがあります。
そんなミナスやサンパウロでソフトロックを演奏していた彼らは81年にこのアルバムを自主制作。
その後は86年にギ・タヴァレスがリオデジャネイロ州に移ったことで解散。タヴァレスは現在ロンドンに移り住んでブラジル音楽の講師をされてるそうです。
ジャンルは前述の通りソフトロックですが、ブラジリアンなソフトロックといえば、日本だと、
キリンジっすよね。特に兄曲の方。
自分も視聴前は
キリンジっぽいサウンドを期待してましたよ。まぁ実際は似てなくとも、聴きあたりの優しい心地よさは似てる気もしますし、キリンジとか好きな方は気に入りそうなサウンドだと思います。
あと、2人のうちどっちかが
キリンジ弟の声にまぁまぁ似てます。
日本のポップスにもありそうな耳になじむフルートのリフが心地良く、メロディは美麗。辺境ロックの良いとこ取りな楽曲はどれも素晴らしいです。
ですが、特に素晴らしい曲はネット上にはなくて、わりと地味めなこの2曲だけアップされてました。
この2曲だけ聴くとイスラエルの70年代フォークロックっぽい風味も感じますね・・・。
という訳で、ソフトロックの名盤として強くオススメします。
これほどの傑作が地球の裏側で自主制作され、数十年近く再発されずに埋もれていたってのは音楽の裾野の広さや奥深さで感慨もあり、盤を漁るのは止められんなぁって思いますね。