94年発表のミニアルバム。
最初に言っておきますが、キング・クリムゾンの代表作に“Vrooom”を挙げる人はほとんどいないと思います。
自分も、クリムゾンの最高傑作は“
RED”だったと思ってますし。
ですが、私的には名盤です。
ココでレビューすべきなのは、ロック史に残る傑作”RED”よりも“Vrooom”だと思うのです。
自分が学生時代にリアルタイムで聴いたキング・クリムゾンはこの“Vrooom”が初めてでしたし、
このミニアルバムが出た時に、多くのプログレ好きが興奮し昂揚したのも間違いないはずです。
90年代において、キング・クリムゾンは既に伝説のバンドでした。
雑に言えば、ビートルズとかと同じく括りでした。
74年に“RED”を発表して解散。
81年に一度復活しましたが、音楽的には以前とは異なり、自分の印象は
雑煮とチ○コでした。
そして84年に再度解散状態になります。
91年にリーダーのロバート・フリップがバンドの復活を宣言してたらしいのですが、旧譜や未発表曲の再発ぐらいしかしてなかったようです。
そんな中、93年にロバート・フリップが突然、
「3人組のバンドを2つ作って1曲を演奏する6人組バンドとか面白くね?」
と閃いたらしく、5人招集してスタジオ一発録りで4日で作ったのがこの“Vrooom”です。
wikiによるとフリップ氏はこのアルバムを「リハーサルテープに過ぎない」と述べられたそうですが、おそらく恐縮した言葉と思われます。
どう聴いてもそんな出来ではないです。つーか恐縮した言葉であってほしいです。
とは言え結果的に荒削りで、衝動的で、クリムゾン作品の中でも特にロックな作品になっていると思います。
アルバムの音源がYOUTUBEで見つからなかったのですが、表題曲の“Vrooom”はライブではこんな感じです。
アルバムではもっと重い感じの演奏なんですが、何か演奏してて楽しそうっすね。
80年代のニューウェイヴ路線をやめてREDの時代に回帰した様なこの曲を聴いた時、多くのプログレ好きは「クリムゾンが戻ってきた!」と、少なからず興奮したはずです。
当時の反応は、意識高いプログレ好きは「それでも70年代に比べるとなー」みたく辛口には言ってましたが、内心は嬉しかったはずですよ。だってこの路線なら今後が期待できますから。
ちなみに80年代クリムゾン的な曲も入ってて、こちらもかなり良い感じです。
短くて比較的ポップで、コッチの方がロックリスナー向けは良さそうな気もしますね。
あと最後の曲“One Time”が地味に良い曲です。淡々としつつも心に染み入ります。
邦盤に入ってる訳詞を見ると、どん底の人生の様な味わいで良曲です。